験(げん)を担ぐ
「レ・ミゼラブル」を書いた文豪ビクトル・ユーゴーは新作を書く前に「必ずある屋敷の前を散歩する」と決めていたそうだ。確か、たまたま傑作が出来たときに散歩していたのがきっかけで、必ずその屋敷の前を通るようになったとのことだった。いわゆる「験を担ぐ」というやつだが、ユーゴーの散歩のように「ほかの人には理解できないが、本人だけが納得している決まり」を持った作家はたくさんいたようだ。
ボクの場合は、「公演前と終わった後に大宰府にお参りに行く」という決まりがある。きっかけは、遊園地の取材で大宰府に行った時にたまたまお参りをしたら、何とその夜一晩で新作が書きあがったから!これには、「1年近く悩んでいた作品が一気に完成するなんて」と自分が1番驚いた。この時から必ず公演前と後にはお参りに行くようにしている。
といいながら・・・実は「6月公演が終わった後」と「8月公演の前」の2回を行きそこなっていた。今日ようやくお参りに(というより、2回すっぽかしたお詫びに)行ってきた。で、「急きょ新作を書くことになって時間がなかったんです・・・」なんて心の中で言い訳をしつつお参りをして、帰りにおみくじを引いた。
天満宮のおみくじには道真公の和歌が書かれているが、今回の和歌には驚いた。引いたおみくじに書かれていたのは
「心だに誠の道にかなひなば 祈らずとても神や守らん」
という和歌だった。「お参りに行き損なっていたこと」をお詫びした後に「祈らずとても」とは!うーん偶然なんて思えない。