イムズで上演されたCVRを観る。この芝居は、実際に起きた飛行機事故の「コクピットボイスレコーダー(CVR)」に残された記録を舞台で再現するというモノで、全部で6件の「事故までの瞬間」が演じられる。
どれも極限の状態を描いていて、当然の事ながら、事故の瞬間に一瞬の轟音と共に全てが終わってしまう。この終わり方が、これでもかというぐらい容赦ない。例え、どんなに頑張ろうと、励まし合おうとも、全ては一瞬で断ち切られてしまうのだ。この容赦なさは、現実だからこそなんだろうけど、かなり衝撃的だった。
ギンギラの作品はエンターテインメントなモノなので、見終わったあとは、満足感とか、心地よさなどの「気持ちの収まりどころ」が絶対必要だと思っている。CVRの場合は、思いっきりボールをぶつけて「あとは自分で感じてください」と、突き放しているようだった。
ボクは、舞台を観るという習慣が圧倒的に少ない日本の、更に少ない地方の福岡で芝居をやる上で「まずは間口が広いエンターテインメントで戦うしかない」と思って活動しているので、こういう作品が成立しているのがスゴクうらやましい。
もちろんエンターテインメントが大好きだからこそ、今のような芝居を作っているんだけど、理想はもっと幅広いジャンルの芝居が成立して欲しいと思っている。そんなわけでこのCVRを観て、内容もさることながら色んな意味で考えさせられた。
芝居としての出来は見事だし、音響効果もスゴイし、思いっきり心を揺さぶられた作品だった。ぜひ、もう1度観たい。