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2008年12月26日 (金)

撮影初日

集合は朝6時半。嬉しいし興奮しているしで早く目が覚めてしまい6時には事務所へ到着。しかし当然誰も来ておらず、外で30分待つことに。暗くて寒い中で待っていたが、頭の中は今日撮影する画のことで一杯。色々想定している間に時間はすぐ経った。

6時半に全員集合。さっそく最初のロケ地「肥前夢街道」へ。

園内にある「大名の間」を「東京駅様が住む殿の間」として撮影するのだ。まずは、ひかり侍の暴走を知った「中央司令室家老」が廊下を走ってくるところから撮影開始。撮影カメラは2台あるので、「慌てて走る家老の広い画」と「廊下を走る足もとの寄り」を同時に撮影。ボクはモニターでカメラの画を見ながら画面の指示。東京駅殿は中島荘太、中央司令室家老は石丸明裕が演じている。暴走に怒る家老と、走るのがちょっと嬉しそうな東京駅殿のやり取りが楽しい。良い感じ。

まずはカメラのセッティングを指示し、準備している間に演技指導と、効率よく進めているが、準備、リハーサルなどで時間がすぐに経ってしまう。室内の次は園内でエキストラを加えての「大阪市内」を撮影。時間ギリギリまで粘って「時代劇らしい画」にこだわったよ。

午後からは志賀島へ移動。初日から移動車内でのバタバタ昼食となってしまった。今回の予算で許された撮影期間は4日間。そして撮影時間は日の出から日没まで(大がかりな照明は無し)。果たして全て撮り終えることが出来るだろうか・・・。今日で「一日あたりの撮影可能カット数」をつかまなければ。

志賀島では第2話に登場する蒸気機関車との場面を撮影。蒸気機関車役は舞台と同じ吉田淳。この第2話のテーマは「しみじみとした日本映画」なので、キモは「美しい景色」。イメージは壮大な海を背景に広いサイズで2人が語り合っている画。口元が見えなくても(そして、口の動きが合っていなくても)いいのだ。昔の日本映画では主人公の気持ちを吐露する場面でこういう画が効果的に使われていた。大事なところはアップを挟んで後はひたすら広い画での会話。成立させるには圧倒的な画力が必要になる。嬉しいことに、これバッチリ撮影出来たよ。

さらにラストシーンは「美しい夕焼け」と決めている。ただし、天気はこっちの力ではどうにもならない「運まかせ」の世界。残念ながら今日の天気予報は良くなかったので半分諦めていたのだが、何と、ビックリするぐらいきれいな夕焼け空になった。もう全員で喜び、そして焦る。なぜ焦るかというと、夕焼けというのは日が沈む一瞬のことなので、撮影可能時間がものすごく短いから。しっとりとした別れの場面を、「あー日が沈む!急げー!」「ああNG!もう一回、早く早く!」など、全然しっとりする間もなく大あわてで撮影。役者には申し訳なかったかな。でも何とかラストカット「海辺を走り去るひかり侍」まで撮ることが出来た。ホッとしたところで初日の撮影は終了。

こうして初監督としての1日目が終わった。

大塚ムネトの不定期日記