「それを夢と知らない」を観る。
とても面白かった。出だしの「人物設定の説明」にちょっと時間がかかった気もするが、これについては、会話の断片からそれぞれが抱えている「どうしようもない現実(関係性)」を想像していくのが良いところなので、そのまったり感を楽しまないと損。もちろんボクはあれこれ想像しながら楽しく観ていた。
でも中盤からは見事にひろげた風呂敷をたたんでいくし、あえてケリをつけないエピソードなんかもあったりして(この辺が、もうずるいぐらいに見事な脚本だと思いましたよ)本当に最後まで楽しめた。
一番印象にのこったのは、時々挿入されていた「幻想的な場面」。
作品に登場する人物達は、それぞれ「切ない現実」にがんじがらめになって、それでも懸命に生きている。その姿が息苦しくなるぐらい悲しく見えてくるのだが、そんなときには必ず「幻想的な場面」が登場して、ホッとさせてくれる。一瞬「幻想的な場面」が入る事で、現実という重力から解放される登場人物達がとても心地いいのだ。
でも、あくまでも一瞬なので、じつは現実に戻ったあとによけいに切なくなったりするんだけどね・・・(って、この辺も本当にうまいよなぁ。だってね、時間を計ったら、大体決まった間隔で幻想的な場面が入ってるんだもん。きっと計算通りなんだと思う)。
なんか、色々書いてしまったが、それもこれもいい作品だからこそ。ほら、いい映画観た後って色々語りたくなるでしょ?林真也もいい味出してたし、太陽族の「それを夢と知らない」は、本当に素敵な芝居だった。