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2007年1月27日 (土)

きらら公演「いちじく純情」

物語は、スーパーに勤めていた若者が主人公。ある日「このまま歳をとるのか」と怖くなった主人公は仕事を捨てて姉の家に転がり込む。姉のところには「恋人のような、ただの同居人のような、書けなくなった作家」が一緒に住んでいた。主人公は姉が勤める葬儀社を手伝うことになるが・・・。役者それぞれが存分に暴れつつも切ない池田ワールド。

登場人物達は、皆「人生というレール」の上を走っているが、悲しいかな「自分の望む目的地」に順調に走っている者はいない。中には目的地を決めることを放棄して、ただ日々に身を任せている者もいる。

主人公は、いつの間にかボンヤリ見えてきた「しかたなしの目的地」に恐れをなして、何とか進路を「自分の望む目的地」に切り替えようとしたわけだが、とりあえずそれまで走っていたレールからはずれるので精一杯。なぜなら彼には「行きたい目的地」がわからないのだ。

でも、人生の電車は、本人が迷おうが悩もうがお構いなしに進んでいく。そして誰もが最終目的地「死」に到着して終わる。物語の中には象徴的に2回の葬儀場面が入る。最初はしっかり長生きして、皆が納得する死。次は、まだ途中での無念な死。

ある偶然の出来事がキッカケでラストシーンになるが、答えが出たわけではない。結局それぞれの目的地探しは続いていく。目的地を自分で決めようとする者、思わぬ出来事から決まろうとする者、またそれから逃れようとする者、受け入れる者。池田さんはあえて登場人物達に結末を与えず終わるが、それこそ人生。究極の結末は葬儀社という設定で2回も示している。このラストボクは好きだった。

あわや中止かもと言う状況を乗り越えて、ホント良い作品が生まれたと思う。

さてボクが乗っている電車はどうだろうか。自分が望む目的地については、20代でもがき続けてようやく見えてきたので、あとは必死に走っていくだけなんだけど・・・。って書いて思い出したけど、「必死」って「必ず死ぬ」と書くんだよね(この話は2005年12月7日の日記にも書いている)。

ボクはどこまでいけるだろうか・・・。

大塚ムネトの不定期日記