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2015年11月12日 (木)

「コンタクト・インプロビゼーショングループ C.I.co.(シーアイシーオー)」

「C.I.co.」は、勝部ちこさんと鹿島聖子さんという女性2人の即興ダンスグループ。「コンタクト・インプロビゼーション」と言うのは、お互いにふれあいながら、言葉を使わずに即興で踊るダンス。まるで「重力が無くなってしまったのか!」と思うくらい、2人は互いの体を使って、柔らかく転がり、高く伸びていく。骨格とか体重とか、そんな理屈から解放された、素敵な身体表現。

画像はパンフより。

◯コンタクトインプロビゼーション・グループ C.I.co.

http://www.geocities.jp/sholoverfg/

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空間に自在に浸食していく2人のダンスを見学させてもらったボクは、その場で「これぞ、水のイメージだ!」と興奮した。

今回の物語は「水」が大きなテーマ。水は、豊かな実りをもたらすと共に、全てを奪う洪水も起こす。見学をした時、ちょうど「水の残酷な純粋さ」をどう表現しようか悩んでいた時だったので、2人のダンスで水のイメージが具現化したのだ。

おかげで、すぐにクライマックス場面の構成が出来上がった。まず激しい水流と戦う方々。「手をつなぐ方々=水に立ち向かう堤防」という見立ての演出。土地を守るぞと決意をし激流と対峙。だんだん激しくなる水の音。音が濁流になり舞台全体を包んだ瞬間、もの悲しい女性の歌声に変わる。花道から登場する「水の精となった2人」。2人は自在に踊りながら空間に浸食していく。それは堤防の亀裂に入り込む水の姿。2人の踊りが強固な堤防をだんだん浸食していく。そしてついに決壊・・・水の精の踊りに翻弄されて流されていく方々・・・・・・と言う感じ。

嬉しいことに、ほぼこのイメージ通りに場面が完成している。2人はダンス同様、創作に対してもとても柔軟で、ボクがやりたいイメージをどんどん形にしていってくれた。稽古場での演出の要求に、すぐに身体表現で結果を見せてくれる2人。「魅せてくれる」と書くべきか。2人の「発想も柔軟なダンス」が本当に素晴らしい。

「場面の構成は決めて、細かな踊りは2人の即興に委ねる」という作り方が、新鮮で、とても楽しかった。毎回大喜びでこの場面を稽古していたよ。「動の場面」を「静の場面」と組み合わせることで、より揺り幅のあるクライマックスになったなと。

画像は、手をつなぐ堤防の前に「不思議な動き」で登場する2人。

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「太鼓の生演奏にあわせた土地開拓場面からはじまり、田植え場面、そして全てが流されていく洪水」と、出演者達は全員休む間もなく動き続ける。全員野球での見せ場の連続。ボクとしてもこれまでにない演出なので、観てもらうのがとても楽しみ。

大塚ムネトの不定期日記