少年犯罪が題材の連作集。とにかく、第一章の「聖職者」と題した、主人公の告白で進む導入が見事。救われない話だなと思いつつも、グイと心をつかまれてしまった。
良くできているし、色んな方が感想で書いているように、ボクも最後まで一気に読んだ。と言うか、読まずにはいられなかった。ただし、ネタバレになるので詳しくは書かないが、あまりにも救われない話に、人によっては嫌な気分になるかも。
でも、読んでる間は、「嫌な気分」と「恐怖」と「興奮」に夢中だったのは確か。作者に降参。ネットで他の方の感想を見ると、賛否両論。どちらの言い分もわかるなぁ。
気分直しに続けて2冊読む。まずは集英社新書の「手塚先生、締め切りすぎています!」と言う、長年手塚治虫のアシスタントをしていた人のエッセイ。まずこのタイトルにドキッとしてしまう。先生の忙しさは凄まじい。天才の苦悩、生々しいところも紹介されていて面白かった。ちょうどNHKBSで「週刊・手塚治虫」も始まっているのでリンクする話も多数。
でも、読み終わるとまだ「告白」の後味が。いかん・・続けて共同通信社刊「オーディオ小僧の食いのこし」に逃げる。これは1960年代にオーディオにハマった作者のイラストエッセイ集。その姿はまさにボク自身。FM雑誌(ボクはレコパル派だった)を買って、番組表を蛍光ペンでチェックし、ここ一番は高いメタルテープに録音する・・。恥ずかしいぐらい同じ事をしていた。きっとボクの世代には多いのでは。当時の番組で言うと、ボクはFMの「音の本棚」と言うラジオドラマを放送する番組が大好きだった。これで放送した「2001年宇宙の旅」は、今もカセットテープを持っている。ボクのお宝。
久々にテープを聴き、気持ちが宇宙に行ったところでちょっと気分復活。「告白」には大変な思いをしたよ。