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2015年11月

2015年11月29日 (日)

ようやく自分の時間&ハガキの思い出

今年は、「開拓史」「カンヅメ少年」「奪われた手紙」と、常に芝居が2つ重なる日々が続き大変だった。おかげさまで好評だったので、「体はヘトヘトだが心は爽快」という感じ。ようやく、自分で時間管理をする日々に戻りホッとしている。年内は、2月公演の宣伝や、来月8日からの稽古に向けての脚本調整、さらに新作長編の取材など。

ずっと何かに追われる日々だったので、今日はゆっくり読書。読んだのはこの2冊。

「生み出す方の本」を読んで刺激になればと。

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この日記の現在読むことが出来る一番古い「2001年10月 5日 (金)」が、ちょうどヤマトのことを書いているが、昭和40年生まれのボクは、もろ直撃世代。「ヤマト」と「スターウォーズ(来月公開だ!)」が、創作と造型の原点で、今がある。

「西崎義展の狂気」とタイトルにあるのは、この方の悪党っぷりが半端ないから。西崎さんの強烈な個性については、ファンの間では有名なので知っているエピソードが多いが、改めて読むと凄まじいなと。でも、その個性があったからこそ作品が生まれたわけで。

・・・と、「さん」づけでちょっとだけ味方をしたくなるのには理由がある。

小学生の時、ファンクラブに入っていたボクは、事務局宛に手紙を書いた。すると、すぐに西崎さんのサインと「ヤマトを応援してくれてありがとう」と直筆で書かれたハガキが届いたのだ!これは嬉しかった。

ただ、今回の本を読むと、「ファンへの対応も戦略だった」とあり、さもありなんとも思うが・・・でも、何も知らなかった小学生のボクは本当に感激だった。

何だかヤマトの話ばっかりになってしまった。もう一冊については、また改めて。

2015年11月26日 (木)

チケットぴあへ

 「ふくおか編集部」と同じビルだが、スケジュールの都合で今日の取材に。情宣写真には、一番わかりやすいキャラ「チロル十円ベエ」として登場。

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本番では、ライスチョコを率いる「米隠れチョコ蔵」を演じる。そう、役者として存分に暴れるのだ!

2015年11月24日 (火)

さあ来年2月公演の情宣がスタート!&「新作と再演」正直な思い

今回の宣伝は、「ふくおか」編集部から。

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演目は7年ぶりに上演する「チョコレーツ・オブ・チロリアン」。公演日程が2/14までと決まり、「ならばチョコの話だろう」と選んだ。一年で一番チョコが主役のお祭り日にぴったりでしょ。

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会場はJR九州ホール。前回が好評で引き続きとなったのだ。


脚本家としての事情を正直に書くと、いまの自分のペースは「新作長編を年に1本」なので、次の新作まで時間がかかると言う事情もある。今年は、「8月の合同公演」と「鹿児島国民文化祭」で、新作長編を2本書き、6月の開拓史も現在パートは新作と、自分的には、いつも以上に新作を書いた年だった。

さらに正直に書くと、焦って公演を重ねて「納得がいかない作品」を上演するくらいなら、「満足を保証できる再演が良い」との思いもある。「チョコレーツ」は自信を持ってオススメする作品なので、まだ観た事が無い方はぜひ劇場で体験してほしい。定期的にギンギラを観たいファンの方々にもしっかり満足してもらえると思う。

もちろん「新作を観たい」、もっと厳しく言うと「新作しか観たくない」というお客様もいる。すでに準備中の新作長編は、再来年春かなと。「2年後か」と驚くかもしれないが、本格長編は、取材から含め3年ぐらいかかるのだ。来年は、短編集など「タイムリーな小回りがきく作品」を上演する予定なので、ぜひ楽しみにしていてほしい。

制作として正直に書くと、前回の嘉穂劇場で4000人弱が観てくれて「地元劇団としてはすごい動員」と言われるが、全然満足していない。だって150万都市圏だから、観てない方が圧倒的に多いし。エンタメと言う、幅広い層に喜んでもらえるジャンルで戦っている自分としては、まだまだなのだ。

この機会に、「新たなお客様」に出会えると良いのだが。

2015年11月22日 (日)

本番終了&出番が少ない理由&でも大満足

「奪われた手紙」は、演出だけでなく、途中から脚本にも参加することになった。ギンギラ新作の時と同じで、ボクは「演出家・脚本家モード」がメインとなり、いつものように「役者の自分」に貧乏くじを引かせてしまった。でも、仕方がない。

新作の演出時は「出ている場合じゃ無い」と思うし、脚本家としては「自分より、他の出演者の演じ甲斐」を優先してしまう。結果、自分の見せ場を他のキャラに合体させ、全体の尺を考えて減らすのは自分の出番となってしまうのだ・・・。やはりというか、今回も「役者の自分」に一番しわよせが行ってしまった。

と言う訳で、新作上演時は「役者の自分がちょっとしか出ていない事」にモヤモヤしてしまう。決めた自分に対して、自分が文句を言うみたいな。だが、今回に関しては、出番が少ないことよりも「演出家・脚本家としての満足」の方が大きい。

書き加えた後半に向けて、それぞれのキャラが背景を持った上で、存分に暴れてくれているし、ラストの流れも納得している。

特に気に入っているのは、座長が演じている「大山」というキャラの生き様。戦争の負の部分を背負ったキャラで、大山の物語に「どうケリをつけるか」ずいぶん悩んだ。新しい時代を前に去っていく流れは決めていたが、「どう去っていくか」が重要。因果応報で最後に酷い目にあう大山になんと言わせるか。さらに、物語全体についても「ドラマとして締めくくりつつ、答えを出さない答え」を目指した。

かなり難しい命題だったが、目標通りに脚本が完成。難しい大山というキャラも、座長が存分にやってくれた。だから、演出家・脚本家として大満足なのだ。

まあ、不完全燃焼な役者のボクには、「来年のギンギラで暴れるようにするから」と説得中。

2015年11月20日 (金)

小屋入り

午後から直方の劇場へ。

甘棠館より広い会場なので、「緻密に組んでいたセットの印象」がどう変わるのかと思ったが、闇市の空間がひろがった感じも良いなと。

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この作品、今年で終わりではなく、今後もいろいろな場所で上演したいと思う。少なくとも、検閲局があった東京・大阪、そして悲劇の舞台となった長崎、最初の目標だった小倉では、ぜひ上演したい。

2015年11月17日 (火)

「奪われた手紙」再び

昨日鹿児島から戻り、セリフを入れ替える。今日からは「奪われた手紙」の稽古。さすがに1ヶ月ロングランで演じていた芝居なので、いきなりの通し稽古もバッチリ。「ギンギラ×ショーマン」の世界が再びなのだ。

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終わったあとは、行けるメンバーとご飯。座長は「仕事的飲み会」があり、また改めてとなった。いつも思うが、メディアの仕事だけでも大忙しなのに、経営者としての業務もこなす座長は本当に頑張っていると思う。良き芝居を作るパートナーとして、ボクも気合いが入る。頑張るのだ!

2015年11月15日 (日)

大団円&午前4時、夜霧の伊佐

 準備から約2年かけた芝居が終わった。今日も満員の会場は大盛り上がり。メンバーもしっかり演じてくれた。好評なのが嬉しい。本当に、みんなよく頑張った!

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Photo_8初日を伝える新聞記事。

何より嬉しいのは、この演劇祭で全てが終わるのではなく、「ここから、伊佐の演劇を盛り上げよう」という流れが生まれていること。今日の打ち上げでも、それぞれの方々が「今後も続けていこう」と熱く語ってくれていた。きっと「何かが始まる」に違いない。

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とても前向きで気持ちが良い打ち上げだった。

それと、お芝居を観てくれた黒ブタ飼育名人から、絶品ブタ肉の差し入れもあり、伊佐のおいしい味覚で締めくくる「嬉しく贅沢な打ち上げ」になったよ。登場キャラを支える関係者の皆さんも喜んでくれたようで、これまた嬉しい。

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おいしいお肉と、それを美味しく調理してくれる2人。稽古から本番と、「劇団いさ」メンバーのために、炊き出しをしてくれていた。ありがとう!

とにかく嬉しくて、今日は飲み続けた。2次会が終わっても、まだ残ったメンバーとダラダラ飲んで、解散したのが深夜4時。ほろ酔い気分で外に出たら、なんと通りが夜霧に包まれている!

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でも、夜中に一人で霧の中にいるのが、とても心地いい。誰よりも詳しくなった伊佐の町なので、全然怖くないし。街灯の明かりでボンヤリ浮かぶ通りに座って、しばらく芝居を追体験。目の前の光景はボンヤリだが、町の物語はクッキリと心にある。

初めて取材で伊佐を訪れた日、「どんな物語が出来るのか」全然予想も出来なかった。初日の方が、よっぽど霧に包まれているようで怖かったなぁ・・・・なんて事を、振り返ったりしながら夜霧を味わった。

2015年11月14日 (土)

初日

会場の大ホールには約800人のお客様。原田さんを中心に事務局の方々が頑張って広報してくれたおかげ。ほぼ満員の会場で上演できるのは、出演のみんなも嬉しいと思う。

まずはギンギラ恒例の記念写真大会から。いつもは、「会場にいるお客様の緊張を解きほぐす」というのが目的だが、今回は「初舞台の出演者達の緊張」も解きほぐす一石二鳥作戦。いつものようにステージから指示をしながら、客席を嬉しそうに走り回る出演者達に早くも安心する。この調子で本番も暴れてくれるだろう。

そしてオープニング。緊張する子供達と一緒に緞帳が開くのを待つ。

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みんなで歌い、市長の挨拶があり、いよいよ本編スタート。

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出演者達の忙しさは凄まじい。下の画像は、西さんの手作り着替え表。

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西さんは物語を引っ張っていく仙人の役だけでなく、ほとんどの場面に別キャラとして登場する。役者としてだけでなく、「太鼓チームの指導」「途中で出てくる棒踊りの指導」「子供達のまとめ」と、どれも西さんがいなければ出来なかったことばかり。頼りになるからこそ、出番も増えるわけで。存分に演じてくれているのが嬉しい。まさに物語を、表と裏の両面から支えている西さん。(女性でいうと、大久保さんが大活躍だった。同じく頼りになる彼女は最多6役演じていた!)

ボクは、本番を舞台袖から見守り、はずれた衣装があれば、着直すのを手伝い、キャストが飛び出すタイミングを指示し、進行を見守る。

出演者のみんなは、汗だくになりながら早着替えで次々と演じていく。そう、まさに「いつものギンギラな舞台裏」。初舞台の一般の方々なんて遠慮はない。ギリギリまでスケジュールを調整して稽古を重ね、「ギンギラの舞台」を存分に演じてもらっている。

そしてラスト。会場全体でテーマ曲を歌う。

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満員の観客が嬉しい。ハプニングもあったけど、「劇団いさ」として、しっかりお客様に観てもらえたなと。

2015年11月13日 (金)

みんなで支えあう表現

今日のゲネプロで、初めて全キャストが集合した。それぞれ仕事を抱えている一般の方々なので、ある程度覚悟はしていたが、ここまで集まらないとは、最初ドキドキした。

しかし、日々の生活がある。「演劇最優先でバイトしてます」なんて、地方都市ではそんな贅沢は許されない。それぞれ厳しい状況の中、仕事を見つけ生活しているのだ。毎夜稽古で遅くなる事を家族が支え、職場の理解があって、市民劇団は成立する。

その現実をふまえると、何とか時間を作って集まり、必死に演じているメンバーが愛しく思えてくる。メンバーの頑張りに応えるべく「それぞれの稽古が出来る時間」と、「俳優として到達して欲しい段階までかかる時間」を、日々調整しながらスケジュールを組んだ。だって、「セリフ覚えて、はい終わり」では志が低すぎるし、「少ない時間で高すぎるハードル」はメンバーの心が折れてしまいかねないからね。

もちろん「観客の満足度」も重要。作品がお客様に響かなければいけない。俳優としての少しずつの成長を喜びつつ、お客様に届く表現までにしなければ。それは、結果的には「演じた本人の満足」にもつながる。

最大公約数を目指し、稽古スケジュールを、事務局の原田さん、演出部の島田さん、西さんと相談しながら決めていた。思えば、何をするにもこの3人で相談しながら進めていた。ボクとしては、作品が立体化するまでの全ての行程を共有することで、ギンギラの良い点を今後に生かしてもらえればという「支えたい願い」からだった。でも、いよいよ本番となった今、振り返ってみると、ボクも3人にしっかり支えてもらっていたなと。

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画像はラストシーン。「ヒノキの国」「黒ブタの国」「明治時代に出来た発電タービン」と、各場面の装置が全て登場する。大団円。

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ゲネ終わりで、ご飯の用意をしてくれているのが、とてもありがたい。ホント色々な意味で支えられている。みんなで楽しく食べつつ明日に向かうのだ!

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11日の子どもたちのリハの様子が新聞に。地元の報道の方々も支えてくれている。本当にありがたい。

2015年11月12日 (木)

「コンタクト・インプロビゼーショングループ C.I.co.(シーアイシーオー)」

「C.I.co.」は、勝部ちこさんと鹿島聖子さんという女性2人の即興ダンスグループ。「コンタクト・インプロビゼーション」と言うのは、お互いにふれあいながら、言葉を使わずに即興で踊るダンス。まるで「重力が無くなってしまったのか!」と思うくらい、2人は互いの体を使って、柔らかく転がり、高く伸びていく。骨格とか体重とか、そんな理屈から解放された、素敵な身体表現。

画像はパンフより。

◯コンタクトインプロビゼーション・グループ C.I.co.

http://www.geocities.jp/sholoverfg/

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空間に自在に浸食していく2人のダンスを見学させてもらったボクは、その場で「これぞ、水のイメージだ!」と興奮した。

今回の物語は「水」が大きなテーマ。水は、豊かな実りをもたらすと共に、全てを奪う洪水も起こす。見学をした時、ちょうど「水の残酷な純粋さ」をどう表現しようか悩んでいた時だったので、2人のダンスで水のイメージが具現化したのだ。

おかげで、すぐにクライマックス場面の構成が出来上がった。まず激しい水流と戦う方々。「手をつなぐ方々=水に立ち向かう堤防」という見立ての演出。土地を守るぞと決意をし激流と対峙。だんだん激しくなる水の音。音が濁流になり舞台全体を包んだ瞬間、もの悲しい女性の歌声に変わる。花道から登場する「水の精となった2人」。2人は自在に踊りながら空間に浸食していく。それは堤防の亀裂に入り込む水の姿。2人の踊りが強固な堤防をだんだん浸食していく。そしてついに決壊・・・水の精の踊りに翻弄されて流されていく方々・・・・・・と言う感じ。

嬉しいことに、ほぼこのイメージ通りに場面が完成している。2人はダンス同様、創作に対してもとても柔軟で、ボクがやりたいイメージをどんどん形にしていってくれた。稽古場での演出の要求に、すぐに身体表現で結果を見せてくれる2人。「魅せてくれる」と書くべきか。2人の「発想も柔軟なダンス」が本当に素晴らしい。

「場面の構成は決めて、細かな踊りは2人の即興に委ねる」という作り方が、新鮮で、とても楽しかった。毎回大喜びでこの場面を稽古していたよ。「動の場面」を「静の場面」と組み合わせることで、より揺り幅のあるクライマックスになったなと。

画像は、手をつなぐ堤防の前に「不思議な動き」で登場する2人。

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「太鼓の生演奏にあわせた土地開拓場面からはじまり、田植え場面、そして全てが流されていく洪水」と、出演者達は全員休む間もなく動き続ける。全員野球での見せ場の連続。ボクとしてもこれまでにない演出なので、観てもらうのがとても楽しみ。

大塚ムネトの不定期日記